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最終回にて。おそらくこの2年8ヶ月の間、僕がどんな舞台に立っているのかを、一度も掲載したことがない。今回、最終回の時に撮ってもらった写真。
終演後
〜〜終わって〜〜
2000年3月から始まったZINGAROとのツアー。最終回の感想は、「こんなもんか・・・」ってところが正直なところ。パリに戻って感じたのは、終わったことよりも、この2年8ヶ月で経験したことの方が、終わったことよりも相当比重として重いから、そう思ったんだと今思う。
328回(帰ってきて数えてみた)も、同じ曲を吹いてこなければならなかったというのは、今思うとよくやってきたと思う。1年目は、とにかく慣れることに必死。2年目は、慣れてきて色々な発見があった。たとえばこんな所でダンサーがこんな動きをしてる!とか、ここのフレーズが何ともきれい。とかこことこのダンスの動きが決まると心地いいかもetc...ってな感じで。そして2年目も、終わりにさしかかるときには、これが何とも厳しい精神との戦い。どうやったら飽きないでやれるか、どうやったらやる気を出せるか・・。機械じゃないし、そんな正確に毎晩できない!なんて思いだしたら最後、崩壊への道へようこそ!!ってことになる。精神的なところと、音楽をするというところは、とてつもなく関係していると言うことが、改めて感じることができた。いい音楽をするには、まず心の健康からっていうことだと思う。
怖さがなくなったことは、どんな状況でも、吹くことができるということ。なんせ寒いか暑いか。しかも馬って暖かいと、呼吸するのが大変になるらしく、冬だというのに暖房がない!パリの本拠地は、ちゃんと木造の劇場で、暖房は始め入っているが、公演が始まると同時に、切られてしまう。他の場所(ツアーをしてるとき)は、森・草原・海岸のそばにテント。そんなところだから、日によって湿気がひどかったり、一番最悪の時は3℃とか5℃とかいうなか、吹かなきゃならないときがあった。寒すぎるでしょ!!って叫んだって始まらない・・。
だいたい冬は、お湯を控え室に持ち込んで、出番直前にお湯の中に手を突っ込んで、無理矢理暖めて出ていく。なんせ公演が始まると音を出すことが出来なくなるので・・・。もちろん楽器も、音を出して暖めることもできない。とにかく天候、気候、気温によって調子が悪くなると言うことは、まったく無縁になった。ある意味そういった物は、ないとは言わないけれども、大半は精神から来るものだと思う。頭の中で、今日は湿気があるからダメとか、寒いからダメとか思うと、ダメになるもんだと思う。もっともこんなことで強くなっても・・・仕方がない・・。
この公演をもって、ZINGAROとの旅日記も終了。色々な国を見ることができて、しかもどこの場所に行っても、ほぼ1ヶ月ほどの滞在をしてきたので、本当に町の隅々まで知ることができた。その一部分をツアーごとに紹介してきて、今見直してみると、本当にこんな生活は一生ないだろうと思う。色々な発見、思い出、ZINGAROとのツアーで、たくさんのことを知ること、得ることができた。僕の一生の宝物になった。
Photo-33 / PHOTO ZINGARO INDEX